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恋人たちが結ばれる橋
私の住む町には有名な橋がある。
通称、恋人橋と呼ばれるその橋は、古い昔、運命によって引き裂かれた恋人どうしが再会を約束した場所として言い伝えられている。二人は年をとってから再会し、それからは幸せに暮らしたということだ。
そのせいか、この橋に最近、なんだかよくわからない都市伝説みたいなものができた。
恋人橋のかかる川が町のまんなかをよこぎっているため、橋の通行量は多い。私も駅から会社へ行き来するときに必ず朝晩、そこを通る。
このごろ、そこで妙な光景をよく見るのだ。
とくに夜、残業で帰りが遅くなったときに目撃する。
若い女性が橋の上から何やら黒っぽいものをバラまいている。なんだろうと思っていたが、どうやら髪の毛のようだ。
なぜ、それと気づいたかと言うと、橋の上で一人の女が人目を気にしながら、バッグからハサミをとりだし、自分の髪をひとふさ切っているところに来あわせてしまったからである。
女は私に気づくことなく、欄干から手を伸ばし、切ったばかりの髪をなげすてると、足早に去っていった。
気になったので、翌日、会社の女の子に聞いてみることにした。
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