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よく見ると、それは資材課の鬼嶋さんだった。
じつのところ、私はこの鬼嶋さんが苦手だ。顔立ちは悪くないほうだと思うが、なんとなく、ふんいきが暗い。
それに、気がつくと真うしろに立っていたり、社内旅行の写真ですぐ近くに写っていたりして、どうにも無気味なのだ。私の勘違いだとは思うが、つきまとわれているように感じて薄気味悪い。
「……おはよう。鬼嶋さん」
ほんとうは相手にしたくないのだが、こういうタイプは無視すると思いがけない行動に出そうな気がする。しかたなく、あいさつはした。
鬼嶋さんは、うつむいたまま口のなかでボソボソと何かつぶやいた。
私はそのまま自分の席にむかった。
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