京急でいくそばや その一

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「ごちそうさまです」といっておもてにでていく。ちいさなそばやは満席である。いれかわりたちかわりであると思う。すこし歩いていくと、バスのたくさん見える金網のある道ばたにほそながいみどりのさきに深紅のちいさな野花が咲いている。むすめは、 「きれい」 といっている。 「そうだね」 という。おなかのこころもちも、酒のこころもちも、きもちよく、歩いていく。遠くも近くもないところの八ッ山の践みきりのところには京急電車がおたがいゆずりあうようにゆっくりすれちがっていっている。空はたかくあおい。  もちろん、むすめの残ったもりはわたしがかけのあとに食べている。そばゆあったらな、これもつまみになったかもしれない。
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