3.Waiting for...Mary&7Sea

3/5
前へ
/17ページ
次へ
「もー、迎えに行こうかと思ったよ。駅着いたら連絡ちょうだいよ」 「ごめんごめん、七海と一緒だったからさー。誰かといると連絡って忘れちゃわない?」  謝りながらピンヒールのブーツを脱ぎ、家に上がる母。  家での父──ミュージシャンではない父は至って普通の父親で、その時の父を母は決してベーシストとしては扱わない。  所謂“使い分け”というヤツだ。 「七海もさー、来るなら来るって連絡くれればいいのにー。そしたら三人で車で帰れたし、帰りにラーメンでもさぁ、ねぇ?」  不満の矛先を私に向けながら、父は縋るように母に同意を求める。完全に尻に敷かれているタイプの構図だ。 「あ、それダメなヤツ。青少年保護育成条例違反。保護者同伴でも特別な理由ないと目ぇつけられちゃうよ」  父の言い分をぴしゃっとはねのけると、父は「ぐげー、そうか」と呻いた。  インディーズとはいえ、あのスターのように見えた“Rhye-ライ-”が「ぐげー」って……。 「はい、お父さん、お菓子買ってきたから機嫌直して」  そんな父にレジ袋をそのまま渡し、中を確認させる真理子。     
/17ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加