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ライブハウスへ続く階段。
その近くの壁際で待ちながら、きっと真理子は今日の“Scaramouch-スカラムーシュ-”のワンマンライブでの“Rhye-ライ-”のステージを思い出していることだろう。
彼を追っかけ始めて、何年になるだろう。
彼はプログレやポストパンク系などの他のバンド時ではメイクは落とし、Tシャツにジーンズやモッズ系ファッションに身を包むなど、ラフな格好をしている。
まさに変幻自在のScaramouch(道化役者)である。
そんな彼の道は音楽一本というわけではなく、学生時代は電子工学の大学を卒業し、メカニックにも精通していた。
エフェクターとしても他のバンドからも駆り出される存在であり、まさにエフェクターやアンプの改造などサウンド面でもバンドに貢献したQueenのベーシスト、ジョン・ディーコンを地で行くような人だ。
敏腕ベーシストとして複数のバンドを掛け持ち、同時にエフェクターとしての技術者職として重用される彼は、いくらインディーズとはいえ喰いっぱくれることはない。
そんな彼を、真理子は愛していた。
まるでジョン・ディーコンがフレディ・マーキュリーの才能をいつまでも愛しているかのように。
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