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「あら、七海。こんなとこまで来て、どうしたの?」
真理子は悪びれもなく、きょとんとした目を私に向ける。
「てゆーか、あれ?じじばばは?」
「二人とも町内会の集まりで出かけるって言ってたじゃん」
「あ、そうだったっけ?ごめんごめん」
「……まぁ別にいいけど。ご飯も食べたし」
年甲斐もなくテヘペロ笑いをするこの人に、すっかり忘れてんなーと思いながら私は肩でため息をついた。
この人がライブに行く日は、いつも私をじじばばにきちんと預けてから行っている。
母方の祖父母で、家も近所だ。
おばあちゃんの作った夜ご飯を食べて、そのままおばあちゃん家に寝泊まりして翌朝学校に向かう。
だけど今日は、祖父母が町内会の会合──要はお年寄りの飲み会──のために夜遅くに出かけたので、なんとなく──。
「だから私も今日は家に帰ろうかなって」
このまま家に帰っても特にすることがないので、なんとなくライブハウスまで足を運んだのだ。
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