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3.Waiting for...Mary&7Sea
ドンキでウィッグと香水とお菓子を買い、電車に乗って帰宅する。
「あ、お父さん帰ってきてる」
家の明かりとガレージに停めてある車を発見するなり、母が言う。
「ほらぁ、先に帰ってきてんじゃん。ウィッグ選びで散々迷うからぁ」
「だってぇ。コスプレ感すごいの多くて普段使いできそうなのがなかなか見つからなくてぇ」
「……普段使いするつもりだったのか……」
ブーブーと口を尖らせる真理子にぽそりとツッコミを入れるも、バッグから鍵を取りだしながらズンズンと玄関に向かってしまう。
とはいえ、持っているレジ袋をガサガサ言わせないように歩く様子にご近所への配慮がうかがえる辺り、やはりこの人は母であり真理子なのだろう。
「アイムホーォーム♪」
だけど、玄関に入るなり英語でただいまを言う真理子にぎょっとする。
無理矢理マリーの片鱗うかがわせようとしてやがるって感じだ。
そんなマリーと私を、家で待つ者がいる。
「もー、二人とも遅かったじゃん」
スッピンにくたびれた部屋着姿の、“Rhye-ライ-”だった。
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