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1.Waiting for...Rhye
夜の10時過ぎ、川崎銀柳街にあるライブハウス“BITE THE DUST”──通称“バイツァ・ダスト”の前にて、真理子は一人、出待ちをしていた。
ジーンズにパンプス、そして秋口になると夜は寒いので、ストールと見紛うドルマンスリーブのジャケットをもこもこと羽織っている。
金髪のロングヘアには、フォークロアファッションによく愛用されるヘアバンドがあしらわれていた。
出待ちの相手は、“Scaramouch-スカラムーシュ-”という名のインディーズバンドである。
“Scaramouch-スカラムーシュ-”とは古いイタリアの歌劇で空威張りする道化役者のことで、Queenの曲「Bohemian Rhapsody」の歌詞にも登場するフレーズだ。
メンバー全員がQueenのファンであることから、この名を取った。
真理子はその“Scaramouch-スカラムーシュ-”のベーシスト・“Rhye-ライ-”に随分と入れあげていた。
“Scaramouch-スカラムーシュ-”はロックバンドだが、道化のイメージを強調したメイクをメンバー全員施している。
もちろん“Rhye-ライ-”も類に漏れず、それがまた神秘的でかっこいいのだ。
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