第2話

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『女の子だったんだ』って。  なにその言い方。  私が女の子じゃ、いけないの?  そのとき、またさくらんぼのにおいが私のところへやってきた。  瞬間、前の学校でクラスメイトの男子達が給食中に話していた、最低な内容が思い出された。  ――なぁ、知ってっか? さくらんぼって、英語で『チェリー』って言うじゃん。でも、『チェリー』って実は、他にも意味があってさ……。  ブチリと、何かが破れるような音がしたのは、そのときだ。 「っ、私が女の子じゃ悪いってか? この『チェリー(童貞)』野郎っ!」  ぽかーん、と口を開けたまま間抜けな顔をお兄さんがしたのと、顔を赤くさせた母さんが、バカッ! と私の頭を叩いたのは、同じタイミングでのことだった。
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