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第3話
「確かに初対面の子にあんなこと言われたのは驚きだったけどさ、でも僕にも非がなかったわけじゃないし、お互い様だよ。けど、あんまりあぁいうこと言っちゃダメだよ。下品だからってのもあるけど、ほら、一応ね、相手にも男としてのプライドってもんが……」
「なら、ここで落ち込んでるお兄さんはそれを傷つけられたわけか」
「君、僕の言ったこと、理解してる?」
してるけど? と返せば、お兄さんがガックリと肩を落とした。
力なく自分の部屋のベランダの手すりに頭を乗せ、なかなかに強かな子だね……、と呟くお兄さん。えぇまぁ、なんせ母があれですから。
春の風が、私たちの頬をゆっくりとなでて行った。
昼と夕暮れの中間であるこの時間帯の風はとても優しい。夏場だと暑苦しいし、冬場だと寒いけど、春だとこの時間帯が一日の中で一番心地いい。家の中でのんびり昼寝も最高だけど、こうして外に出て風に当たるのも気持ちがいい。
(まぁ、なぜ隣にいるのがこのお兄さんなのかは、なぞだけど)
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