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少女の大きな瞳が、イルミネーションに照らされてキラキラと輝いている。その光に圧倒されながら、「大丈夫」と答えると、瞬間に少女はもっともっと目を見開いて叫んだ。
「お姉さん、いい人ね!」
今の返事のどこがいい人なのか、全くわからなかったけど、それでも「いい人」と言われたら悪い気なんかしない。「ありがとう」と素直に答えたら、今度少女は、少し悲しそうな顔になった。
「あの、あのねーー…私、お母さんとはぐれちゃった」
「あら、ら……」
神話に出てきそうな、妖精の様に美しい少女。私の予想した通り、この人が多い街で、少女は家族と離れ離れになってしまったらしい。
私にできる事ならーー…交番に連れて行く、しか。
「あのね、だからね! …今から、遊びませんか!」
「え?!」
近くの交番をきょろきょろ探していたら、少女が私のコートを掴んで言ったのだ。子供の瞼に、ダイヤモンドの宝石みたいな輝きが宿る。私は慌ててハンカチを取り出して、わたわたと彼女の涙を拭いてあげた。こんなにも可愛い女の子の涙は、何故か、流させてはいけない気がして。幸せなクリスマスイブの夜に、妖精の涙顔は似合わない。
「……うふふ、やっぱり、お姉さんって優しいね!」
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