第一話 モブキャラ喪女その名は薔子

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 モブキャラや喪女と言えば、ライトノベルや漫画などでは大抵……根暗で太め、不美人、オタク、コミュニケーション能力が低く地味で垢抜けない服装、自虐的でネガティブ、と定番である。けれども薔子は ①地味で野暮ったい容姿でも、清潔感に溢れている事。 ②平均的には対人と交流出来る事。 ③どうせ名もなき脇役底辺な人生なのだから、誰も自分を気にしない事を明るくとらえ、自分なりにポジティブに楽しく生きて行く事。  この三つを秘かに目標に掲げ、そして『新しいタイプのモブキャラ喪女』であると自負していた。勿論、あくまで自分だけの中で完結している事ではあるが。  随分と前に『干物女』や『腐女子』にスポットライトをあてた漫画やライトノベル、テレビドラマが流行った。そして社会的認知度と受容度が増した。ここ数年、「モブキャラ」や「喪女」にスポットライト当てた作品が数多く目立って来ている。その為、薔子はそう言った作品を欠かさずチェックしてはワクワクしていた。  つい最近までは、異世界転生もので、目立たない主人公がチート的能力を身に着けてモテモテ大活躍系のお話が主流だった。そこに自分を重ね、主人公に夢見た人々は沢山いた事だろう。けれども、それはファンタジーであるという現実がやがて夢の世界から醒めて行く日がやってくる。  つまりは、世の中大半が凡人で出来ているのだ。そんな中、物語の便宜上、凡人の下に位置するとされているモブや喪女にも、生き易い世の中が来ているに違いない! と。それは、LGBTに注目が集まって来て居る時代が、きっとモブキャラ喪女にもスポットライトが当たる時代が来る!!!  ……と、以上が薔子的見解であった。
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