序章 その男はヴァンパイア……

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序章 その男はヴァンパイア……

「良し! これでラストだ!」 「全滅させたか?」 「間違い無い!」 「もう一度しらみ潰しに探すぞ! 念には念をだ!」 「了解!」  9名ほどの男たちが緊迫した空気の中怒鳴り合うように会話を交わす。年齢や職業などはばらつきがありそうだが、それぞれに共通したものを身に着けていた。  胸には大きな銀の十字架、右手に木の杭、左肩にかけた黒のベルベット仕立ての鞄に描かれた銀色の十字架。その中には同じく銀の十字架が描かれた瓶に聖水が入っている。かなり使われたようだが、まだ残りはたっぷりとあるようだ。腰のベルトには銀の弾丸とニンニクが9つの房となって垂れ下がり、更には銀色のコンパクトな鏡が差されていた。右肩には銃がかけられている、勿論銀の弾丸入りだ。  十六世紀中頃……ヨーロッパを始めとした各地で魔女狩りがピークを迎えていた。それはここ、トランシルヴァニアの深き森の奥も例外では無く……。
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