0人が本棚に入れています
本棚に追加
「え? あ、え? 辻くん?」
「誕生日プレゼントありがとうございます。しっかり頂きました」
さも何もなかったかのように冷静な態度を装って少し意地悪く笑ってみる。本当はめちゃくちゃドキドキしているけど。心臓破裂しそうだけど。そんなのバレたら恥ずかしいじゃん。
事情がのみこめない高橋先輩はきょろきょろと辺りを見渡したり、高速で瞬きしたり、随分と挙動不審だ。街灯の光で見える先輩の顔がうっすらと赤いような気がするのは寒さのせいなのか、それとも俺のせいなのか。はたまた両方か。
嫌われたかも、なんて少しネガティブ思考になりかけていると……
「ぷぷぷれいぼーいだね!」
「プレイボーイ……あはは!」
「何!? 何で笑うの!?」
「いやぁ……やっぱ高橋先輩のこと好きだなって思いまして」
「好き? ……私のことが好き!?」
「順番おかしくなっちゃいましたね。すみません」
「そ、それってもしかして……」
「告白と思ってもらってかまいませんよ?」
俺がそう言うとボフンとでも音が出そうなくらい一気に顔が赤くなった高橋先輩。耳まで真っ赤になって猿みたい。と思ったけどそこは心にしまっておこう。さすがに怒られそうだ。それに猿はさすがにないよな、リンゴに訂正しておこう。
こほんと咳払いが聞こえた。高橋先輩の方を見ると口を少し尖らせながら指をもじもじさせている。
「わ、わたしで良ければ付き合ってもあげてもいいよ」
「コンビニまで付き合うとかそういうオチじゃないですよね?」
「違うし! 人が真面目に話しているのに!」
「すいません。冗談ですから怒らないでくださいよ」
「出来の悪い後輩だからね! 私がついててあげないとダメかと思って!」
「ダメです。先輩がいないと俺ダメです。だからずっと俺についててくださいね」
「お、おうともよ」
もう一度キスをした。今度は長い長いキスを。
最初のコメントを投稿しよう!