0人が本棚に入れています
本棚に追加
「ちなみに辻くんは誕生日いつなの?」
「俺の誕生日ですか? あぁ、そう言えば今日ですね」
「え、本当? 初耳なんですが」
「そりゃあ、初めて言いましたから」
「ちょっと! いきなりすぎて何もプレゼント用意してないよ!」
俺の誕生日が今日だと知った先輩。マジかー! なんて言いながらあたふたとポケットをあさっている。けれど何も見つからなかったらしくショボーンと肩を落としてしまった。事前に教えておけば何かくれたのかな?そう思うと勿体ないことしたかな。高橋先輩からのプレゼントちょっと欲しかった。何くれたんだろ?
別にプレゼントを貰おうなんて思ってもいないと告げるが先輩的には何故だかそうもいかないらしい。私の威厳がーとか、可愛い後輩のためにーとか、何か言いながら今度はカバンをあさり始めた。
「やばい。本当に何もない。飴の1つも出てこないだなんて」
「そんな気を使ってもらわなくて大丈夫ですから」
「んー……あ、そうだ! プレゼントはわ、た、し! とかどうかな!?」
「――え」
「なーんてね! うそうそ! 先輩がそこのコンビニでお菓子でも買ってあげようじゃないか!」
そう言って足早にコンビニに向かっていく高橋先輩の腕をがしっと掴む。何事かとこちらを振り向いた先輩の唇にそっと自分の唇を重ね、ちゅっというリップ音とともに唇をすぐ離した。少し名残惜しい気がしなくもない。
恥ずかしさから目を閉じてしまったけど開けておけばよかったかもなんて少し後悔。どんな顔していたのか見ればよかったかな。あぁでもそれはそれでなんか怖いな。嫌な顔されてたらとてもじゃないけど立ち直れないし。やっぱり閉じといてよかったかも。
最初のコメントを投稿しよう!