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白だけの世界に留まる
高校からの友人であるジムが一段高い場所から話をしている。
「健ヤカナルトキモ、病メルトキモ、喜ビノトキモ、悲シミノトキモ、富メルトキモ、貧シキトキモ、コレヲ愛シ、コレヲ敬イ、コレヲ慰メ、コレヲ助ケ、ソノ命アル限リ、真心ヲ尽スコトヲ誓イマスカ?」
普段は流暢な日本語で話すジムだが、結婚式で司祭のバイトをする際は片言の日本語を使う。
流暢な日本語だとありがたみが薄れると、式場の人に叱られたことがあるそうだ。
「誓います。」
ジムの問いかけに、笑いを堪えながら笑顔で応える。
今日は結婚式。俺の隣には真っ白なドレスをまとった最愛の人がいる。
誓いの儀式を無事に終え、協会の形を模した式場から外にでる。
参列者と紅い絨毯。遠くには綺麗な空と海が見える。
俺たち二人を、みんなが笑顔で祝福してくれている。
文系で色白な俺だが、結婚が決まってからジムに通い鍛えるようにした。
理由はこの日、この時、彼女をお姫様だっこするためだ。
彼女が小柄なこともあり、お姫様だっこは成功し、そのまま階段を順調におりる。
階段をおりている間、常にフラッシュにさらされる。
写真を撮られることは嫌いだが、今日の閃光は眩しいだけで不快感はない。
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