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俺は先生だったのか?
否。
俺は高校を卒業したのか?
否、まだ高1。
俺には人に何かを教えられる程の力量があるのか?
否、否否。断じて、否!
教わる事すらままならないこの俺が。
赤点と情熱の間を反復横飛びしまくる学力のこの俺が。
いくらなんでも先生ってのはちょっと……
「冗談ですよね?」
「ううん~、マジだよぉ?」
可愛く返された。
どうする?
どうしよう…
どうすれば。
そうだ!!
「あの……俺、帰ります。」
帰ろう。家へ。
そして親父を問い詰めよう。そうしよう。
きっとあのずぼらなクソ親父殿は間違って俺にこの手帳を渡してしまったに違いない。
きっとそうだ。
なんだそうか。
考えてみればなんとも単純じゃあないか。
あはははは!
あ~おっかしい!!
腹筋痛てぇぜ。
はっははは……
じゃ、一通り笑った所で。
「……お世話になりました。」
ガチャン。
俺はそう言って医務室を出た。
さぁ、帰るぞ。
帰ろう帰ろう!!
そうしてトマルが医務室を出ていった時、蒼い髪の少女は一人、こう呟いた。
「……夜は魔物が出るのに……」
夕日が静かに隠れていった。
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