転校生って、どんだけ肩身狭いんですか!!

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「う……まさか、本当に野犬が!?」 獣の群は俺の周りをぐるぐると回りながら俺を観察している。 今にも獣達の会話が聞こえそうなくらいに、単純な危機だった。 [旨そうだな……久しぶりの飯だ……逃がさないように慎重に喰い殺そう……俺が囮になるからお前等が首を狙え………] ……このままでは埒があかない。 無力な俺は無抵抗なまま野犬共の栄養分に成り果てるしかないのか? う、うう、う…… 「……そんなの嫌だぁ!!」 俺は咄嗟に足元に落ちていた木の枝を拾って、振り回しながら獣に突進した。 走り抜ければ、もしかしたら助かるかも…… しかし…… ブンッ!! と、風を切る音をさせながら空を切った俺の木の枝は、獣達に掠りもしなかったようだ。 一瞬の判断で攻撃を止めて逃げに転じた俺だったが、もう遅い。 枝を振り抜いた方の腕に、一匹の獣が噛みついてきたのだ。 さらにそいつは刃のような牙を俺の腕の肉に深々と突き刺して、ご丁寧に激しく体をくねらせてきやがった。 振り外そうと懸命に腕をバタバタさせる俺だったが、牙の痛みと獣の体くねらせ攻撃により、背後への注意が疎かになる。 そうして俺に十分な隙が出来た時、まず右足のふくらはぎに一匹。 さらに太ももに二匹。 トドメというのか、遂に俺は地面に膝をつき、背中に無数の獣達がのし掛かるように俺を噛みに来た。 もう何が起こっているのか解らないくらいにずたぼろにされた俺の肢体は、滅茶苦茶に引き摺りまわされ、獣達がよってたかって痛め付けた背中には既に感覚がない。 と、目の前にリーダー格の個体だろうか、一際でかい奴が俺の目の前にやってきた。 そうか、やっと殺してくれるのか。 お前が俺の死か…… そう思いながら残された力を振り絞って顔をあげた俺は、あまりの驚きに気絶しそうになった。 「……そんな……」 そこにいたのは3つの目を持った狼に似た獣だった。 2つは普通の目、しかしもう1つの、額にある、今にも開こうとしている、金色の、瞳は…… 「見ちゃダメ!!」 叫び声とともに、周囲が明るく照される。 空から舞い降りて来たのは紛れもなく彼女…… 「……天使……?」
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