転校生って、どんだけ肩身狭いんですか!!

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世の中に天使を見たことがある人間はどれだけいるだろうか。 1%でも「はい」と答える人間が居たら、それはかなり多いのではないだろうか。 更に、まぁ言い方は悪いが、本当に現実として狂言でなく妄想でなく空想でなく厳然たる純然たる超自然の賜物としてのガチでリアルな天使を見たことがある人間が、その1%の中に何人いるだろうか。 今日、この日、俺はその1%の中の更に一握りの人間になった。 つまり俺は、 「…天使だ……」 そう、天使を見たのである。 その天使は、俺が三つ目の狼に喰い殺されんとしていた時、そう、まさしく決定的でジャストなタイミングで、突然に宙空からご光臨なさった。 不思議と、痛みが失せていく気がする。 これは天使様のご利益か、はたまた俺の死期が近いからか(だとすると実にヤヴァイ)、とにかく頭が冴えてきた。 「大丈夫だった?坂巻くん。」 はいはい、全然平気ですよ天使様。 まあ、ちろっと血ぃ流してポックリ逝っちゃいそうですけど、僕は全然大丈夫です。 平気です。 だって僕は天使様に会えましたからね。 天然記念物よりもエスパーよりも中学生メイドよりも稀少な天使様に会えましたからね。 いやぁ、全く、 「……僕は今、全然死ねる気がしません。」 そう言った俺は、よろよろと立ち上がった。 さっきまで死にそうだったのに、死を受け入れていたのに、生存を諦めていたのに、瀕死の身体を引き摺って、俺はよろよろと天使様に近づいていった。 「……さ、坂巻くん?」 「……天使様……」 「は、はひ!?」 渇いた口をパクパクしながら、声を必死に紡ぎ出す。 「助けて下さい。」 俺はそう言うと、朦朧とした意識の中で、はっきりと、見た。 蒼い髪の天使様が、にっこりと笑ってこう言うのを。 「もちろん。」 そこで、俺はまたもや意識を失ったのでありました。
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