あなたは僕に死ねとおっしゃるのか。

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起きたら朝でした。 どうやら俺はあの後丸一日眠っていたようなので、今日は白竜学園に無断でお泊まりした2日目の朝という事になりますね。 はぁ、帰ったら親父になんて言われるだろうか。 今から憂鬱になってしまう。 あ、そうだ! 「カロン先生。」 「なんじゃい。」 「俺、天使見ました。すげぇびっくりしてます。俺、天使に救われたんです。」 「へ~、トマル君ラッキィじゃぁん。よかったにー。」 カロン先生は俺の中では人生で最も重大なニュースを、まるでガリガリ君に当たったとでもいうかのようにさらりと受け流した。 反応薄いなぁ…… 「朝ごはん出来ましたよ~。」 そう言って医務室のドアを開けて大きめの土鍋を持ってきたのは、言うまでもなく蒼い髪の少女である。 因みに彼女、まだ名前が不明である。 この機会に訊ねてみよう。 蒼い髪の少女はご丁寧にも俺に土鍋に入ったおじやを小皿に取り分けてくれ、食べさせてくれた。 や、優しい!! 優しいよ!!蒼い髪少女さん!! こんな最上級の暖かさを俺に分けてくれる女性は、天国へ旅立った母さんを除けば、やすこ姉を考慮してもキミだけだ! 俺は蒼い髪の少女特製おじやの美味さと彼女の暖かみに触れて、感激に涙を流しそうになった。 目頭が熱い。 ついでにおじやも熱い! 「勝手に出てってごめんなさい。もうしません。絶対、勝手な事はもうしません。」 「ふぅん、解ればいんだよ、トマル君。ね、明日香ちゃん?」 「……無茶はしちゃだめだよ、坂巻くん。あ、おじや熱かった?ごめんごめん。」 へ~、明日香ちゃんて言うんだ。 良い名前だ、良い子や、うん、この貴重な出会いを大切にしよう。 別に下心があっていってる訳じゃないぞ。 ただ、明日香ちゃんは、俺の心のオアシスだ。 いつか、俺が彼女の手助けを出来るように成れればいいと、本気でそう思った。
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