あなたは僕に死ねとおっしゃるのか。

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俺の右目は光を浴びると溶けてしまう。 何と言うことだ。 俺は一生の内にこんな悲惨な目に会うとは夢にも思わなかった訳で、カロン先生に俺自身の手で目を取り返してこなければ外の世界に帰さないとまで言われてしまい、かなりショックだった。 「イイですか?これはね、ケガとかではないんだよ。ケガならばボクの治癒魔法で一発回復なんだけど、それは要するに“契約”みたいなモノなんだ。」 契約、ですか…… 「そう。なんとなくだけど、現代社会にはびこる詐欺みたいな契約だけどね。こちらの世界ではそんなことに法律は構ってくれはしないよ。あくまでも自衛が原則なんだ。酷だけど、何も知らずに飛び出したキミの責任という訳だね。」 なるほど、確かに詐欺だ。 ただ三つ目狼の眼を見ただけなのに、この右目は奴と同化してしまったのだ。 「契約は治療出来ない。何せケガではないのだからね。それは魔法であっても無理なんだ。領分が違うということだね。ここまで、ついてきてる?」 はぁ、なんとか…… 「だから、キミはそれを解消したければ自分の力でどうにかこうにかやり遂げるしかない訳だ。まぁ安心したまえ。私はとある理由で城の外に出られないけど、とびきり優秀な助手をつけてあげるからね。明日香、悪いけどトマル君と一緒に行ってあげてくれるかい?キミの風凪帥翔(ふうなぎすいしょう:風魔法の一種で日本伝統の技らしい)があればまず三つ目なんかにやられはしないだろうからネ。」 「……分かりました。支度してきます。」 そう言って、明日香は医務室を後にした。 ここで俺はどうしても気になっていた疑問を口にする。 「カロン先生。もしかして三つ目狼から俺を救ってくれた天使は明日香さんなんじゃないでしょうか?」 「明日香さんなんて殊勝な呼び方はやめてあげたまえさ。苗字は海風だよん。で、なんでそう思うの?」 「えっと、その、天使の髪の色が蒼だったような気がして、海風さんと同じなんで、なんかあるかなって。」 「でもその天使様には翼が生えてたんでしょう?ボクの知る限り明日香ちゃんに羽が生えてた記憶はないね。」 「あ……そっか……」 やっぱり、アレは運が良かっただけなんだな、きっと……
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