全部砕け散ればいいのに。

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ぞろぞろと出てきた三つ目狼達の姿に、俺と明日香は驚きを隠しきれなかった。 「なっ……お前等、その傷は、一体……?」 なんと三つ目狼達は揃って傷だらけだったのである。 もしかして先程の“敵”にやられてこんな事になってしまったのだろうか。 一際大きな個体が一歩前に出てきて、俺の掌に鼻を押し付けた。 『……アイツはアクマだ……オレタチはヒッシにタタカッタが、ニゲナケレばゼンメツしてイタかもシレナイ……』 その声は直接頭に響いてきた。 そうか、やはり一応、俺はこいつと契約を交わしている仲なのだった。 「何て言っているの?」 どうやら明日香には聞こえていないらしい。 俺は聞いたままの出来事を明日香に伝えた。 「そっか……でも、あんなに強力な隠密の“魔術師”がまだ存在していたなんて、あいつは一体何を企んでいたんだろう……?」 「魔術師?魔術師と魔法使いは何か違いがあるのか?」 これもまた、領分の違いと言うやつなのだろうか。 「う~んと、そうね、確かに魔法使いと魔術師は“領分”が全然違うわね。でももっと決定的な差があって……」 「……差……?」 「そう、魔術師はね、本当はただの人間なの。本来魔法なんか使えない人々なのよ。それを補うために、偶然だけど坂巻君みたいに魔力を持つ魔物達と契約を交わしたり、魔力を持つ薬なんかを調合して肉体を強化したりするのね。」 「えっ……でもそれって、海風さんやカロン先生みたいな魔法使いの人達と比べれば……」 「そうね、本来なら全然格下の相手だった。魔法を使えないんだから当然よね。でもさっきの襲撃者は強かった。それもかなり。ということは、もしかしたら襲撃者の背後には更に強力な魔法使いがいるかも知れない。とにかく何故襲ってきたのか解らないし、不気味だわ……」 恐ろしい…… 魔力が無いのに海風さんと張り合い、しかもその背後には更に強力な魔法使いが存在するのか…… しかし本当に不可解だ。 襲撃者は結果的に俺達に対しては何にもしてないのに、何が“任務完了”であると言うのか。 一体何を……? その時三つ目狼のボスがおずおずと口を開いた。 『ヤツラは…ジカンを…カセイで…イタノのだ……』 ………!?
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