全部砕け散ればいいのに。

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「なっ、時間!?でも俺達を足止めして何の利益があるって言うんだよ。自慢じゃないけどな、今の話から推測するに、襲撃者の背後には超強力な魔法使いがいるんだから、俺達の事を足止めしたって意味無いだろう。海風さんには悪いけど、正直そんなに強力な魔法使いなら俺達に割く分の戦力はカロン先生を足止めするのに使うんじゃないのか?あの人ナリは小学生だけど、多分かなり強いんじゃないのか?」 「……多分坂巻君の言う通り、私と真正面から戦って張り合える実力を持つ魔術師を手下に持ってる魔法使いなら、私なんか相手にならないくらいに強力に違いないわ。私達を足止めする必要なんて、無いと思う。」 三つ目狼は少し寂しそうにくぅん、と吠えた。 この間はあんなにも恐ろしかったのに、何だか急にこいつが憐れに思えて仕方がない。 『チガウのだ…ヤツラがホントウに…アシドメしタカッタのは……ホカデモない、コゾウの方なノダヨ……』 「えっ、なっ……なんで……?」 『………』 俺は一人、三つ目狼から衝撃的な事実を告げられてしまった。 明日香が怪訝な表情でこちらを伺ってしるが、しかし、この事を話してしまうと全てが崩れ去ってしまうのではないか。 いや、そんな事にはならないか。 どうしよう。 これを今の内に言わないと、後になって後悔するはめになるかもしれない。 いやしかし、今ここでそれを話した所で明日香が余計に混乱するだけかもしれないし、ここは一旦城に帰る他無いか。 しかしどうする。 もし明日香にこれを告げないならば、この事件、俺が解決するしかなくなってしまう。 正直、敵のボスを相手に俺が闘って勝てる見込みなんかは限りなくゼロに近似している。 俺に、出来るのだろうか…… 『……ワタシも…トモにイク。コノアイダのコトは……シバラクはオアズケに…シヨウ。ワタシはイチゾクを……マモラネばナラナイし、コゾウも……ヤラネばナラヌ仕事が……デキタのでアロウ?』 ……仕方がない。 俺としては早く契約とやらを解除したい所だが、一宿一飯のご恩、ここで返すべきだろう。 「なっ、どうゆう事なの?」 明日香が不思議そうに訊ねた。 ならば俺はこう答えるしかない。 「カロン先生を助けに行くんだ」
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