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顎の関節が外れそうだ。
白衣を着た女の子はいきなり俺の顎を掴んで片腕で持ち上げたのだった。
小柄なくせに相当な怪力の持ち主である。
苦しい……呼吸もうまく出来ない。
脳が酸欠で悲鳴をあげている。
こ、殺される!!
まさかこんなところで人生の終焉を迎えるとは夢にも思わなかった。
あぁ、せっかく死神から逃れる事が出来たというのに、まさか医務室で殺されるとは思ってなかったよ。
「このボクが小学生にでも見えたと言うんですか?」
……その通りデス。
俺の顎を締め上げたままがくがくと揺さぶってきやがった。
女の子は一向に力を緩める気配がなく、俺の返事も聞かずに一人で喋りまくった。
「この白竜学園のあまねく生命の救済者たるボクが、小学生に見えただとぉ?足りない脳ミソに我が名を刻み込め!私の名前は……」
「カロン先生、止めて下さい!死んじゃいますよ!!」
急に力が緩み、俺はベッドに崩れ落ちた。
あぁキミは、泉で出会った、俺を殺そうとした蒼い髪の……
いやぁ、助けてくれてありがとう。
この子意外に怪力でさぁ……
て、え?
カロン先生?
「そう、ボクこそが白竜学園の医務室の天使、カロン=スパイラルなのだよ。覚えておきたまえ。」
カロン先生に締め上げられて脆くなっていた顎の関節が、カコンと外れた音がした。
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