青天霹靂その2

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 鬱々とした淀みから少しだけ顔を出したおかげで目覚めがいい。白井の生活拠点を知ることは俺に安定をもたらした。思い出や想像の中ではなく白井はちゃんと生きている。毎日白井タウンを検索して情報を集めてしまうだろう。でもいい、グズグズ泣いているよりずっとマシだ。  鼻歌まじりに会社に着くと小さい事務所は騒然としていた。わんわん怒鳴る声と集まっている人の群れ。どういうこと? 「あ、黒木!」  坂井が走り寄ってくる。その表情は暗く青ざめていた。 「社長が金を持って逃げた」 「嘘やろ?」 「まじやが」 「え?え?給料は?住んでいる部屋だって会社のもんやし。ええ?」 「部長と話をしたいっちゃけど債権者の対応で一杯一杯」  坂井と俺は何もできることがなくそのまま帰宅した。  ドラマのように突然会社がなくなった。たぶんここに住み続けるのは無理だろう。会社の持ち物件だから債権者にもっていかれる。  俺はしばし考えた。解雇や倒産の場合失業保険はすぐ支給されると聞いたことがある。今は梅雨明けの夏。真っすぐな道と広い大地。よし決めた、白井に会いに行こう!何とかなる!待ってろよ、白井タウン!(と……白井)
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