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「始まったぞ」
白井の声で現実に戻ると目の前では雪像に映されるプロジェクションマッピングが展開中。すげ~!!ベースが白いからものすごく綺麗だし圧巻。まわりの歓声からも俺と同意見が多数の模様。
「クロ」
白井が耳元で俺の名前を呼んだ。いつの間にか黒木がクロへ。犬みたいだけど白井の犬なら大歓迎だ(ネコだけど)
「来てくれてありがとう」
え?え?
「こっちにきてくれて本当に嬉しかった」
こんなシチュエーションでそれはないでしょ!いや……嬉しいけれども。
「クロが冬になったら逃げだすんじゃないかってビクビクしていた。俺は逃げたからね。だから今日まで言えなくて」
白井に抱きつきたい!キスしたい!白井!しらいい!
「あと……俺が言う「バカ」って好きと同義語だから」
「え?嘘やろ」
「ホント」
白井の言う「アンタ、バカでしょう」は「好き!」ってこと?言われない日はない「バカ」という単語がトンデモなく素敵な言葉だったってこと?まずい、泣きそうだ。
「ちゃんとゆえよ」
「北国の男はシャイなんだよ」
「ちゃんと聞きたいっちゃけど」
白井の唇が耳に触れてホワっとした吐息と共に言葉が続いた。
「俺はクロに惚れてます。ずっと一緒にいて」
周囲の歓声とともに俺は叫んだ。歓喜の雄たけびを上げながらこれが幸せなんだと生まれて初めて実感した。
夏を知らない白井と冬を知らない俺。北と南でかけ離れた二人。でも一緒にいて、これからも一緒にいたい俺達!白井、しらい、シライ!!俺は白井が好きだ!とんでもなく好きだ!
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