カキーン!熱の共有

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 白井は宮崎の大学に通っている。なんでまたこんな遠くに?と聞いた時「本当の夏を知らないんだ」なんてちょっと格好いいことを言った。あとからそれは嘘だとわかったけど。  自信のあった本命大学に落ちる可能性はゼロと見込んで、滑り止めに行く気のない地域の大学を選んだ――洒落のつもりで。  しかし結果は本命に振られ、こんな暑くて遠い場所にくるはめになったらしい。気温25度を過ぎれば大学に行くのが苦行になる。休日はこもりっぱなし。  だが寒さにはめっぽう強く「さみー!さみー!」を連呼しながらダウンにブーツで完全防寒の俺を横目にシャツ一枚、しかも裸足にサンダルで歩いたりする。「10度は春だ。桜が咲く気温だぞ」と言われてしまえば小さいはずの日本のデカさを実感するしかない。  これほどの地域差がありながら何故俺達が付き合っているのか。それは俺がグイグイ押したから。一目惚れしたから。これをモノにしないと男じゃない!と神様が言ったから。  よく行く飲み屋でチビチビ酒を飲んでいる時に、フラっと立ち寄ったのが白井。初めて見る顔は俺の目を惹きまくり釘付けになった。  180cmはあるだろう身長、そして色が白い。本当に白い。こっちの色白のレベルと段違いだった。はっきりしているくせにクドクないパーツがバランスよく収まった顔。特に目は茶色くて縁だけ黒い。瞳が綺麗に見える仕様のコンタクトレンズみたいな目。
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