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「くそっ!2アウトだ!」
「野球は2アウトからって言うわぁ」
「絶望的だ。9回裏ランナーなし3点差、ホームラン打ったところで焼け石に水」
教師を目指しているだけあって、俺より大人な単語選び。そしてテレビからは無情にサイレンの音がウウウウウ~~~~試合終了。ホクショウだかホッカイが負けた。残念でした。
「あああ北海道の夏が終わった!」
「来年があるがね」
「宮崎の夏も終わればいいのにな、クソ暑い」
クソ暑い環境を作ったのは誰ですか?言ってもいいが言わなかった。ここで臍を曲げられてお楽しみが遠ざかるのは困る。
白井は玄関のドアを閉め、ダイニングのドアも閉め、全ての窓を閉め切った(もちろんカーテンも)エアコンを作動させ扇風機を首振りにモードに変える。
ドサリとソファに座り室温を下がるのをじっと待っている。エアコンから冷気が噴出し暑さが後退しはじめたのを見極めて俺は行動を開始した。太ももに手のひらを滑らせハーフパンツの中に潜り込ませる。
「暑いのに?」
「ちょしてえ」
白井は得意の半笑いの笑顔を浮かべる。少々バカにされているような気もするが。
「そんな言葉教えないほうがよかったな。アンタがすっげ~バカにみえるよ」
なまっていないように聞こえる北海道にも方言はあるらしい。それをいくつか教えてもらった。「ちょす」は触るという意味。
「触るというより弄るかな。『悪戯しないで!ちょさないで!』って言ったりする。俺の親は使わないけどね。だから俺も言わない」←白井の解説。
こんな素敵な言葉があるだろうか。俺はそれを覚えてから誘うときに「ちょす」を使うことにした。ちょっといけないことをしますわよ?な響きがいい。
「ちょしていい?」
「どうしてだろうな、バカっぽいのに可愛いいと思っちゃうのは」
年下にカワイイと言われたから男らしく白井の膝にまたがりキスを仕掛ける。白井の両手が背中に回りTシャツがまくり上げられた。背中にあたる冷たい空気が気持ちいい。
「全部締め切ったから。我慢しないで声だせよ?黒木さん」
白井の色っぽい命令が耳元で告げられ、俺の背筋がザワめいた。
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