青天霹靂

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この日を境に白井からの連絡はなくなった。でも俺は二日に一回電話をして飲みに行こう、遊びに行こうと誘い続けた。その誘いは三回に一回しか成功しなかったが顔を見ればやっぱり嬉しい(しかしベッドへのお誘いは全敗) 白井の線引きはピシャッと揺るぎなく可愛げがない。一縷の望み、そんなものを期待した俺だったが、日に日に望みは小さくなり続けた。  甲子園が幕を閉じ、夏が秋を経て冬に。そして春の兆しが見える頃白井から連絡がきた。「明日帰るから。元気で」そっけないセリフみたいな言葉に俺は「おお」としか返せず、切れた電話を握りながらサメザメと泣いた。白井の中では完結した恋かもしれないが俺の中では現在進行形のまま。  キリキリする胸とともに泣いたり怒ったり、思い出に釣られて自分で慰めたりを繰り返す日々。 白井の言った「新しい恋」をみつけるために、出会いを求めてみた。自分を組み敷いた男の肌が白くないことを残念に思うとあっけなく萎える。手のひらに感じる胸毛の質感にウンザリしてさらに萎えた。そんな俺におかまいなく勝手に動いて果てた男は俺を残して帰っていく。そんなことを3回ほどやってみて、あまりの馬鹿さ加減に自己嫌悪の大陸に埋もれてグズグズ泣いた。 失恋後遺症に悩まされているのに、解決策も救いもない。淀んだ沼をジャブジャブ泳いでいるような気分のまま毎日を送った。  無気力と失恋病を抱えたまま時間は淡々と流れていく。季節は巡り甲子園を来月に控えた7月、宮崎は梅雨明けを迎えた。
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