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「行かないならいいわよ。別に私は一人でも楽しく飲めるし」
投げやりな言葉遣いに、五十嵐の頬が緩んでいく。
「お前さ…自分が一人で飲むのが嫌だから俺を誘ったんだろ?素直に言えよ」
「違うしっ!あんたが寂しそうだから誘ってやっただけだしっ!」
まるで中学生の言い合いみたいなことをしながらじゃれていると、窓の外に夕焼けが見えて五十嵐は我に返った。
「いいよ、行こう。どーせ家に帰っても暇だしな」
「えっ!?ホントに!?」
あからさまに嬉しそうな顔をする緋浦を見ると、いくら鈍感な五十嵐でも気付いてしまった。
――そう言えば折原が前になんか言ってたな……。
そう思いながら緋浦の頭をポンポンと軽く叩くと、
「一回、署に戻るから迎えに来るわ。じゃあ、あとでな」
そう言って手を振りながら病院を後にした。
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