いつのまに

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1件目の殺人、今井(いまい)千裕(ちひろ)。 昨年5月。 市内の公園で男性の遺体が発見された。 首をロープのようなもので縛られた事による窒息死で、殺害される前、被害者はゲイバーで飲み、一人の男性に声を掛けた。しかし、その男性は別の男性と店を出て行った。 相手も見つからず、その日は帰路へついたが、帰り道にあった公園に何者かによって引きずり込まれ、殺害されたものと見られている。 学生時代の友人や身内の話によると、被害者は物心ついたころから女性を見下し、蔑んでいたという。 父親は建設会社の社長で、家は裕福だったが、母親は家事を家政婦に任せ、いつも遊び歩いていた。 そんな母親に嫌悪感を覚えた被害者は、過去に数回、母親に暴力を振るっていた。 その暴力により母親は片目を失明したが、自分にも非があった事から、暴力があった事を隠し通した。 この事件はキングズベリー・ランの屠殺者(とさつしゃ)と類似している。 1935年から1938年の間に12人が惨殺された事件。 犠牲者は全て斬首されており、男性の犠牲者の大半は去勢されていたという。 切られていないまでも、絞殺された状況は斬首を連想させる。 そして、今回の被害者は生殖器を切断されていた。
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