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車窓から緒方の姿を見ていると、緒方は携帯の画面を見ながらフラフラと歩き、伊織が乗ってきた車の前で足を止めた。
何か見えるのか、車越しに家の玄関の様子をじっと見つめ、また携帯に視線を落とし、また家を見つめ…を、繰り返す。
クルッと方向を変えたかと思うと、頭を掻きながらまた携帯を見、フラフラと戻ってきた。
助手席の扉が開き、緒方が乗り込んでくると同時、冷気が車内に流れ込んでくる。
「さみぃーわ、マジで」
「まあ…冬ですからねぇ」
五十嵐は相変わらず伊織が乗っていた車を見つめてそうつぶやく。
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