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伊織の車が動き出すと、五十嵐も車を発車させた。
「わざと近付けてみる?もしもこれが播磨伊織の仕掛けた罠なら、俺たちが尾行してるのにも気付いてるはずだし、それでもアジトに行くのなら、アイツの目的は世直しって事になる」
緒方の言う事はもっともだが、本田の指示無しにそんな行動に出ていいものか考えてしまう。
もし、こちらの動きを知っているとして、伊織が最後に何を企んでいるのか五十嵐には想像もできなかった。
どう頑張ったって、そこにあるのは『逮捕』か『死』の二つのうちどちらか。
煽るような真似をすれば、伊織は自殺するかもしない。
「とりあえず応援を待ちましょう。逃げる様子も無いですし……」
そう言った後、車内は沈黙に包まれる。
車は更に静かな住宅街へと向かっていた―――。
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