偽物

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賑やかだった署内が一気に静かになると、また大柄な男たちに囲まれて一人の男性が歩いてきた。 身長は高く、顔立ちも整っている。 まだ若いその人は、無言のまままっすぐ前を見て歩いていた。 「今日は帰りが遅くなりそうだから…先に寝てて」 頬を撫でる野本の向こうに伊織の姿を見ながら、彩香は頷いた。 19歳が犯した罪……。 自ら望んで犯した罪……。 彼を犯罪者にしたのは…誰なのだろう。
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