516人が本棚に入れています
本棚に追加
本編が始まると、「身体の力が抜ける」…と言っていた彩香の身体は前のめりになり、急に温度差が生まれた。
野本も見てるうちに面白くなってきたのか、陽が暮れるまで二人で集中して見ていた。
DVDを三枚ほど見終えた頃、そろそろ夕飯の支度を…と、思った彩香がソファから立ち上がると、野本の携帯が震え出した。
テーブルの上に直に置かれた携帯が身を揺らすと、その振動音はテーブルを伝って床へと響き、結構大きな振動音になる。
それがまさにDVDの音が途切れた合間に鳴り響いたのだから、彩香は身を縮めた。
「わぁっ!」
ビクッと身体を震わせ、胸に両手を当てて驚く姿に、野本も慌ててテーブルの上の携帯を取り上げる。
「ごめん!彩、大丈夫?」
携帯の画面に目もくれず彩香の心配をしているが、彩香はまだ胸を両手で抑えたまま、かたく目を瞑り、怯えた表情で頷いていた。
最初のコメントを投稿しよう!