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手向花あばよの死
第三十五回太宰治賞応募作品
原稿用紙換算:五十二枚
「手向花あばよの死」
石津度々
太宰治賞審査員の先生方、はじめまして。小説の賞を、拙い懺悔の吐き出し先に選んだこと、どうぞお許しください。
懺悔ともいえない、これは浅薄な愚痴かもしれません。正直にいえば、文学などと高尚なものではございませんから、文学賞に応募するのは場違いなのです。分かっています、判っていますから、どうぞ、ただどうぞ、紙を置かずに最後まで読んでくださいませ。小説の賞に応募してみれば、審査員の先生に、お一人だけにでも最初から最後まで読んでいただけるのではないかと、浅ましい考えでお送りしているのです。私は始終浅ましい女なのです。浅ましさを胸の中に秘めておくことすらできず、ただ世界の誰かに一瞥されたいという承認欲求の塊で、この文章を書き始めているのです。
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