葵side

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「………なんで?」 「アホか、わざわざこんな時間まで探してんのは財布忘れたからだろ、出してやるって言ってんだよ。」 生徒にアホかって………まぁ、言ってることはあってんだけどさ。先生の好意に甘えてお金を出してもらう。そして遅いんだからもー帰れ、と言われて帰路につく。 帰れる嬉しさを表すように先生にもらった小銭がポケットで音をたてた。 無事に帰宅した午後9時。 帰った途端母さんにすごく怒られた。そらそうだ、こんな時間だもん。今考えてみりゃ携帯で連絡すら良かったんじゃん!………アホだ私。 でもまぁ、あの先生いいとこあったんだねー、見直したよ。 ピンポーン 午後10時前、突然のインターホンに玄関に一番近かった私が風呂上りのぼっさぼさな髪のままドアを開ける。こんな時間に誰が何の用だ? 「おぅ、無事に帰ってたみてーだな、おバカさん」 先生だ。なんで私んちにきてんだ?ってかバカは余計だ、バカは。 「どしたの先生、こんな時間に、襲いに来たなら110番だよ」 バカって言った仕返しに軽口を叩く。 「誰がガキを襲うかバカ、俺はただ届けに来てやっただけだよ。」 そう言って車の荷台から自転車を取りだす。あ、私のだ。     
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