6人が本棚に入れています
本棚に追加
そう思うのになぜ、断りの言葉を口に出せないんだ?
笠原はずっと待っている、その俺を見つめる射抜くような強い眼差しから俺は…………………
目を逸らした。
瞬間、視界に映る笠原の手が傷ついたかのように震え、ギュッと握りこまれる。
「そっか…………やっぱダメなんだ。」
聞こえてきたのは明らかに涙声。視線を戻したその先で笠原は、泣いていた。
「…………笠原」
思わず呼びかけた。すると笠原は今気づいたかの様に頬を擦り。
「あれ、泣いてる?………そっか、分かってはいたんだけどね、こう、なんていうか………あはははぁ、困っちゃうよね!歳の差だってあるし分かってたのに」
ガシガシと目元を擦り真っ赤になった顔のままで。
「ありがと、先生。今まで。じゃ、じゃあ、あたし帰る。さようなら!」
いつもの様に不敵に微笑み、でも崩れそうになる表情を堪え、笠原は慌てて教室を出ていった。
最初のコメントを投稿しよう!