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いつまで、そうしていただろう、静まりきった教室に一人。知らずの内に詰めていた息を吐き出す。これで良かったんだ俺にとっても笠原にとっても、それを望んでいたじゃないか、重荷は無くなったんだしこれで俺と笠原の問題は終わり。
なのになぜ俺は今泣いているんだ?
おおぉーい、おいこらおっさん。おかしいじゃねーかこれであいつの将来ハッピーエンドだ。これから先の、将来のことを考えて傷つけたのは俺だぜ?なんでお前までダメージ受けてんだよ。あぁーもうチクショウ、今更気づくんじゃねーよ馬鹿じゃねーのほんと俺はさっき振ったんだぜあいつのこと、なのに。
あいつの事が好きだなんて。
今思えば片鱗はあったかもしんない、ただ自分が10近く年上ですぐ冷められるんじゃないかって怖がって一歩先に進むことを恐れてた。振ったことで笠原が幸せになれるだなんてただのエゴ、そんなモノのためにあいつを泣かせた、傷つけた俺は。
「最低じゃねーか………」
机に手をつき項垂れる。視界のはしに卒業式だからと教室を飾るために使った折り紙、ペン、のり。全ては終わって使われなくなったもの。終わったんだ、いや、オレが終わらせた。笠原との関係は戻れないし戻らない。終わったんだよ馬鹿。
あれ?さっきもあったなこの感じ、なのになぜ俺は今。
走っているんだ?
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