そこに佇むのは

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「あ、あの……すいません、ずっとこちらに立っていますよね。誰かをお待ちなんでしょうか」  僕の言葉に彼女は目を丸くした。そして、柔らかい笑みを浮かべたのちに、こう言ったのだ。 「もう、いいの」  鉄琴のような心地よい、どこか覚えのある声だった。  僕らは立ち話をしたあと、連絡先を交換し合った。  次の約束は特別にはなかったけれど、きっとまたここで会えそうな気もした。
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