ふたりきりの飲み会

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さっきの話と午後の緊張のせいで昼食はあまり喉を通らず、空腹のまま二時を迎えた。ついにプレゼンだ。 課長や部長が会議室へとやってくる前に、見かねた先輩は「飲んどけ」とこっそり紙パックの野菜ジュースをくれた。 「緊張します、桐谷さん……」 「へえ、緊張してるなんて珍しいな。いつも捨て身タックルだろ、水野は」 「そんなことないです、緊張しますよ! でももうやるしかないし、今回も捨て身タックルです……」 「おう。骨は拾ってやるから安心しとけ」 「せんぱい……」 堂々とした先輩に甘えられるのも今のうちだけ。 会議が始まったら、新商品の提案はすべて私に一任されていて、詰まっても桐谷さんが助けてくれることはない。助けない、と事前に言われている。
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