ふたりきりの飲み会

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私は今まで何回も、惚れ惚れするような先輩のプレゼンを隣で聞いてきた。私が意見を言えば必ず先輩が拾い上げてくれたし、まるで良い意見を言ったかのようにフォローしてくれた。 私が先輩の片腕だなんて言われるようになったのは本当は全部先輩のおかげで、私の実力だとは言えない。 でも、今日はその実力だけを見られている。 もし、化けの皮が剥がれて、本当は私は先輩のお荷物になっているなんて思われたら……。 浅見さんの話を思い出して、行き場のない不安ばかりが頭を駆け巡っていった。 「水野」 「は、はいっ」 「頑張れよ。俺、水野のこと信じてるからな」 せんぱい……。嬉しいですけど、今は余計にプレッシャーですよ。 そんな私の複雑な表情も見透かして、先輩はククク、と笑っていた。
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