ふたりきりの飲み会

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******* 「────以上が、私の提案するコーヒードリップセット『マルシェ』の企画になります。働く女性に向けたリフレシリーズの今後のボリュームアップのためにも、この企画を進めていきたいと思いますのでご意見を頂戴できたらと思います。ご清聴ありがとうございました」 プレゼンはスムーズに終わり、あとは部長たちからの質疑応答の時間となる。 ここからは先輩とリハーサルをしていない部分だ。どんな質問が飛んでくるのか心臓がバクバクと鳴り出した。 いつもおしゃれなネクタイをしている部長は、まずは向かいにいる美人課長に視線をやり、意見を求めた。 「……そうね、まずはプレゼンありがとう。分かりやすかったわ。モノは悪くないと思う。でも働く女性をターゲットというのがリフレシリーズだけど、わざわざコーヒー器具をそこに仲間入りさせる意図は何? 他のシリーズからコーヒー関連のグッズはいくつかあるでしょう?」 「は、はいっ……」 「リフレシリーズから改めて出すメリットは何?」 メリットか……何だろう、自分で考えているものはあるんだけど、それはこの場で発表していいものか。 もし的外れな意見だったら、ここにいる皆に幻滅されるんじゃないかな。 『もっと自信もって』 先輩に言われた言葉を思い出す。 そうだよね。失敗してもいいから、自信を持って言葉にしなきゃ伝わらない。 間違うことより伝わらないまま終わりにするほうが、きっと桐谷さんをガッカリさせてしまうはずだ。
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