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第27章
通されたのは、少人数用のダイニングルームだった。
シャンデリアに、夜空の見える背の高い窓。
生花の生けられた大きな花瓶。
栞の席はカイトの隣で、その隣にエステラ、喬久、理恵子と座った。
理恵子はさすがに自分の好奇心を爆発させてはいけない場所だと悟ったようで、おとなしく話を聞くことに徹していた。
ようやく脚の下でクッションの感触が感じられるようになった頃、食事が運ばれてきた。
はじめてのサラベナ料理。
サラべナの家庭料理はマヌェからレシピを教わっていたが、それは日本の食材で作られた「なんとなくそれらしいもの」だった。
本物は、きっともっとスパイシーで、コクがある感じ。
そんなイメージを、勝手に栞は抱いていた。
白服の給仕が栞の横に立って皿を配膳する。
前菜はシンプルな白い皿に新鮮そうな貝肉。
目の前には長い箸が置かれた。
べトナムやタイの鮮やかな手書きの器と、甘辛いエスニック料理を想像していた栞は、なんとなく肩すかしをくった。
一口食べてみると、もっと驚いた。
「これは、お出汁?」
明らかに日本料理の昆布だしの香りがする。
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