三年後のお姫様

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 高校三年、十八歳。 「──あと三ヵ月だなぁ」  卒業までのカウントダウンは十二月の空に白い息が出来た。  セーラー服、いつもの帰り道。  落ちかけの夕日は夜のおはようを迎える時間で、ひんやりとしたコンクリートの道は私一人、じゃなかった。 後ろから駆けてくる足音はどんどん大きくなってくる。 「──姫(ひめ)ねーちゃんっ」  中学三年、十五歳。  近所の年下の、幼馴染のような男の子。 「やっぱり、すぐわかった」  どこから見ていたのか、住宅街の細い道なら予想がつくか。  柏木姫子(かしわぎひめこ)──私の名前。 「琥大(こうた)も今帰りだったんだ」  宇佐美琥大(うさみこうた)──琥大の名前。  三つ隣の家で、三つ違いの年の差。 家族ぐるみで仲が良くて、私も琥大と仲が良い。
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