19人が本棚に入れています
本棚に追加
/12ページ
「……また背、伸びた?」
斜め上に見上げると、見下ろされた。
私の身長は百五十四センチ。
「今は百七十ちょいかな」
いつ抜かされたのか覚えていない。
あんまり会えなかった高校の三年間──中学の三年間で追いつかれて、追い抜かされた。
手袋を忘れた手を丸くして息を吹きかける。
すると琥大が右の手袋を貸してくれた。
「いいの?」
「うん、片っぽずつ」
右利きの私、左利きの琥大。
手袋も大きい。
余る指先を見つつ思う。
琥大は前から優しい。
もっと甘えてもいい小さな時だって我儘も言わなかった。
どっちかというと私が小さい子みたい。
きっと学校でも変わらないんだろうななんて思った。
「……琥大、好きな子出来た?」
「え?」
「モテそうだなって」
最初のコメントを投稿しよう!