18人が本棚に入れています
本棚に追加
何だろうと思って見ていると、何やらクリスマス仕様のラッピングに包まれた箱がでてきた。
「先輩がマシュマロマニアだったなんてね。好みがわからなかったから、安パイでマシュマロにしたんですけど、正解だったな」
「え、これマシュマロなの?」
「ネットで探したらこないだのマシュマロの他にもいくつかよさげなの見かけたから、買ったんです。クリスマスプレゼントにって」
「クリスマスプレゼント?私に??え、でも…今日こうしてるのは、たまたまのはずじゃ…」
今度は私がポカンとする番だった。たまたま残業していただけの私に、なぜ彼がプレゼントをくれるのだろう?なぜ事前にこんな準備を?
「…もちろん、先輩が彼氏さんとデートするために早々に退社してたら、渡さないつもりでした。でも今日、残ってたから…。本当は、『クリスマスイブに彼女をほったらかしてるような男はやめて、俺にしませんか』って言うつもりでした」
「…え?」
「え!?」
うまく呑み込めなくて、二度聞き返してしまった。
「え…それ、って…右京くんが、私を…」
「好き、ってことです」
目を見てはっきりと言われて、私は二の句が継げなかった。
「一緒に仕事してて、先輩のことちょっといいなとは思ってたんです。けど、はっきりと先輩のことを好きだと思ったきっかけは2つあります。1つは、彼氏がいる、って言われた時。正直、大ショックでした。僕はここで初めて、先輩に好意を持っていたんだって気づきました。2つ目は、僕が買い直したマシュマロを食べた感想を熱く語っていた時。先輩はキモいって思ってるみたいですけど、僕はあの時、先輩が可愛いなって思いました。目をキラキラさせて、ほっぺ赤くして、嬉しそうにマシュマロのことを語る先輩がすごく可愛くて。先輩のほうが年上なのに、まるでちっちゃい女の子みたいに見えて」
彼は私への気持ちを、とくに恥ずかしがる様子もなくニコニコしながら語る。聞いているこっちが恥ずかしかった。
「先輩に彼氏がいなかったなんて、俺には超ラッキーって感じっすけど…。先輩は俺のこと、どう思ってますか?…こんなこと、急に言われても困りますかね?」
彼はちょっと不安げに聞いてきた。
最初のコメントを投稿しよう!