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「よーし、今日はとことんまで飲むか! そんでまた忘れちゃおう!」
メニューを取り出し、「これ美味しいよ」と新しいカクテルを勧めてくる聡子。
過ぎたことをいつまでもうじうじと考え込む私にとっては、聡子のこういうあっけらかんとしたところに救われる。
「男ってすぐさ、「尽くしてほしい」とかそういう雰囲気出すじゃない? でも、尽くしたら尽くしたで「お前は重い女だな」って、ホント身勝手だよね」
「そう、だね」
聡子の言葉に、私は歯切れ悪く答える。
確かに、賢は身勝手だった。ろくすっぽ話もしないまま、自分の感情に任せて私を捨てていった。
それは世間一般的に見れば、不義理なことだと責められてしまうものだろう。
事実、共通の友人たちは皆が皆、賢を責めた。
(でも私は──?)
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