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ぬるくなったカフェラテを飲み干して、聡子は大きな溜め息を吐く。
「別れて正解だったよ。だからいい加減、新しい出会いを求めたら?」
身を乗り出してそう提案する聡子の迫力に少し圧され、思わずたじろいでしまった。
「─…いいの。結局また捨てられるかも、って思ったら…。誰かに恋をするのが怖いの」
困惑したようなぎこちない笑みを浮かべた私を見て、聡子は「やっぱり意思は固いか」と呟いて、ソファに身を預ける。
聡子とは学生時代からの付き合いだ。サバサバして姉御肌気質の聡子と、どこかぼんやりとした暢気な私が友達になったのは、もう10年以上前のことだ。
全く正反対の性格で、積極的に外へ出て遊びにファションにとアクティブな聡子とは対照的に、私は一人で本を読んだり映画を観たりとあまり社交的ではなかった。
ただ、好きなアーティストのライブに行った際、偶然聡子と会場で出会ったのだ。
好きな曲、好きなフレーズ、好きなメロディー──何もかもがピタリと一致した。
どちらからともなく、ライブ後にお茶に誘い入ったのがこのカフェだった。
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