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寝室のドアを翔太が開ける。
「あ…」
杏樹は驚いた。
間接照明が壁と部屋をうっすら照らす。
ベッドも、カーテンも、壁紙も。何もかもが新しくなっている。
「…新調したんだ」
「…」
「…その…ヤキモチもあったから」
「…っ」
「責めてるわけじゃない」
「…はい。
翔太さん、素敵です…」
「…気に入ってくれたなら、よかった」
翔太が杏樹の肩を優しく導いて、翔太と向かい合わせにした。
「…緊張してる?」
杏樹は背の高い翔太を見上げて頷いた。
「…俺もだ」
翔太は杏樹の手を優しく持つと、自分の心臓にあてた。
ドッドッドッ…温かく、速くて力強い鼓動が掌に触れる。
杏樹は翔太に微笑んだ。
「初めてなんだ…」
「…」
「…心の通じ合った女…
心から愛し合える女性と、ってのは」
「…」
「それに、あの時ーーあの別れの日が最後だったから」
「あ…」
ーーそれって…あれから、他の人は…抱いてないって…こと…?
…翔太さん…
「杏樹のことしか、考えられなくて」
「…翔太さん…」
杏樹の目が潤む。
「…ホントに、いい?
もう…抑えられそうにないけど…」
「はい…翔太さん…」
杏樹が微笑んで頷く。
翔太は杏樹の頬に手を当て、上向かせるとそっと唇を重ねた。
触れるだけのそれ。
それだけでも2人は震えて、息が乱れた。
「…小学生の時みたいだ」
「…それは…早いですね」
杏樹はクスっと笑った。
「…ごめん」
翔太も笑った。
それからーー見つめ合うと、翔太の唇がまた落ちて来た。
今度は触れるだけのものから
徐々に深くなっていく。
「…ん…」
優しく髪を撫で
宝物を抱きしめるように顔に頬に触れる指。
優しく絡む舌。
翔太の中に吸い込まれて
杏樹の神経が敏感になっていく。
「ん…っ…」
気持ちよすぎて泣きそうになった。
カラダから力が抜けて腰も足もガクガクして
背中に腕をまわした翔太にほとんど抱き上げられている。
「んぁ…」
部屋に響く水音に脳の奥が痺れるーー
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